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婦人中風傷寒の3条

149「婦人中風、発熱悪寒、経水適来、得之七八日、熱除而脈遅、身涼、胸脇下満、如結胸状、譫語者、此為熱入血室也。当刺期門、随其実而瀉之。」

「婦人の中風、発熱悪寒し、経水適(たまたま)来り、之を得て七八日、熱除いて脈遅に、身涼しく、胸脇下満ち、結胸の状の如く、譫語する者、此れ熱血室に入ると為すなり。当に期門を刺し、其の実に随いて之を瀉すべし。」

熱が無い。
婦人が発熱悪寒した時に、たまたま生理が来た。その後7日経ったら、熱が無くなって脉は遅となり、身涼しく、胸脇下が満して結胸のような症状となり、うわごとを言う者は、熱が血室に入ったのでしょう。

この婦人中風、つまり発熱悪寒と時を同じくして生理が来たという症例をどれほど集めたらこの条文にすることができるのでしょうか。

生理中は投薬せず経過観察とした。
結果は、熱は除かれたが脉が正常ならば治ったことになる。
しかし脈が遅の場合は、血流が低下しているが、涼しいと感じるぐらいであるから体表面を暖める力が低下している程度である。そして胸脇下満という結胸のような状態であり、うわごとを言う。
これは血室に熱が入ったからだという病態を考えだした。
実際に、生理出血によって病状が変化するのですから血を中心に考えるのは当然であり、女性特有の問題であるので、文頭に婦人と限定されます。

150「婦人中風、七八日続得寒熱、発作有時、経水適断者、此為熱入血室、其血必結、故使如瘧状発作有時、小柴胡湯主之。」

「婦人の中風、七八日、続いて寒熱を得、発作時(とき)有り、経水適(たまたま)断つ者は、此れ熱血室に入ると為す。其の血(けつ)必ず結ぼる。故に瘧状の如く、発作時有らしむ。小柴胡湯之を主る。」

この場合も熱入血室となっています。
前条では、出血後に熱入血室の場合。この条文は、出血できずに熱入血室の場合。
この2条の関係があるから、中風と書かれています。
中風とは「陽浮にして陰弱」とあるように陰と陽に分かれる病理を指しています。
つまりこの婦人中風は発熱悪寒が現れた時に生理が始まる場合が前条文であり、発熱悪寒の時に生理が始まる予定であったが生理が来なかった条文がこの条であり、熱入血室になることは前条と同じです。

二つの「婦人中風、発熱悪寒」の条文です。
経水適来、得之七八日、熱除而脈遅、身涼、胸脇下満、如結胸状、譫語者、此為熱入血室也、
経水不来、七八日続得寒熱、使如瘧状発作有時、其血必結、此為熱入血室也、小柴胡湯主之。

二条を一条に合わせます。
「婦人中風、発熱悪寒、或経水適来、得之七八日、熱除而脈遅、身涼、胸脇下満、如結胸状、譫語。或経水不来、七八日続得寒熱、使如瘧状発作有時、其血必結。此為熱入血室也、小柴胡湯主之。」
このように熱入血室により結となる場合は、小柴胡湯が主ることになります。

どうして生理出血がある場合に、「実に随い瀉す」となり、生理出血がない場合には「瀉す」指示がないのでしょうか。
脉遅、身涼、胸脇満が結胸の様な状態であり、この状態の実に対して瀉すべしとなり、小陥湯か大柴胡湯となります。
脉遅は、虚した状態を表わしているのではなく、結胸のように胸膜の緊張により心が抑圧されている状態を表わしています。
これに対し生理が無い場合には、結胸のようにはならないようです。
血だけが結し、その他には影響しない。

つまり生理出血は臓腑に負担となるため、前条では結胸のようになり血の症状は譫語だけでしたが、生理出血のないこの条では結胸のようにはなりませんが血の症状が虐状と激しくなっています。しかしこの場合でも小柴胡湯で良いということは、強い邪実ではなく、血結となります。

表裏臓腑に邪が存在しなく、血の異常だけと考えているようです。
それにしても柴胡剤の対応の広さに驚きます。
後に、柴胡剤が肝に対応されて考えられるようになりますが、この時点ではひとつひとつの病態に対して書かれています。

151「婦人傷寒、発熱、経水適来、昼日明了、暮則譫語、如見鬼状者、此為熱入血室、無犯胃気、及上二焦、必自愈。」

「婦人の傷寒、発熱し、経水適(たまたま)来り、昼日(ちゅうじつ)は明了、暮るれば則ち譫語し、鬼(き)を見る状の如き者は、此れ熱血室に入ると為す。胃気、及び上の二焦を犯すこと無ければ、必ず自(おの)ずから愈ゆ。」

「犯胃気」・・・胃気を犯すものは何ですか?
一般的には「如見鬼状者」なので、気を下げようと承気湯類を投薬するのが常套手段です。この投薬が胃気や上焦を犯すことになるので、投薬せずに治るのを待ちましょう。と解釈されています。
① 「暮れるとうわごとを言い、恐怖に震える様子の者は、此れ熱が血室に入った為です。この者に投薬をした場合に、薬が胃気や上の二焦にダメージを与えることが無ければ、必ず自然に治ります。(投薬は止めましょう)」
② 「暮れるとうわごとを言い、恐怖に震える様子の者は、此れ熱が血室に入った為です。この血室に入った熱が、胃気や上の二焦にダメージを与えることが無ければ、必ず自然に治ります。」
一般的には①の解釈なのですが、②の解釈ではいけないのでしょうか。
婦人中風、経水適来・・・譫語・・・・・・・・・・熱入血室
婦人中風、経水適断・・・如虐状発作有時・・・・・熱入血室
婦人傷寒、経水適来・・・暮則譫語、如見鬼状・・・熱入血室
中風より傷寒の症状が激しくなっています。しかし中風と傷寒の違いは、中風は病位を渡ることができなく、傷寒は病位を渡ることができることに有ります。
ですから、血室の熱が胃気や上焦を犯す可能性があるから婦人傷寒と書かれていると私は考えます。

このグループは、初めに婦人の場合と限定し、病理として中風傷寒とし、病状を示し、原因として「熱入血室」としています。
しかし血室という概念はこの条文のために作られたようなもので、はっきりしていません。
ですから実際に子宮に熱が入るとか、卵巣に熱が入るとか、小柴胡湯を使うところから肝に熱が入るとか、具体的なことではなく、あくまで生理に関係しているところから血室とし、イメージを作っているものと考えます。
ですから現代に於いては、生理出血と病状の関係を記述してある条文と考えれば良いです。
そして婦人傷寒ですが、私としては「昼間は正常で、夜になると精神異常が見られる場合でも、まずは生理が終わるまで、だいたい一週間は様子を見ましょう。しかし、嘔吐や動悸、呼吸の異常などが現れる場合は、証に従い投薬を考えてください。」と解釈します。

傷寒は「陰陽倶」という病理を指しています。
婦人傷寒の場合は、結にはならずに、血室に入った熱は胃気と上焦を犯す進路を進みます。
生理に因って出血することが、この傷寒の進行を止めることができるとなります。
もしも生理があり胃気上焦を犯すようであれば、出血と共に邪を排出する為に更に承気湯類を使います。
もしも生理が来る予定なのに、来ないようであれば桃核承気湯で出血させることになります。

① の解釈だと、「婦人中風、経水適来、譫語」が一番重症、「婦人中風、経水適断、小柴胡湯主之」が中程度、婦人傷寒が自然に治るので軽症となる考え方もあります。

胃気と上の二焦を犯すものは、何だと思いますか?

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しょうかんぽん

Author:しょうかんぽん
傷寒論 厥陰病編が終わりました。
霍亂病の解釈は休憩にします。
ただ今、最初から読み直しています。
このブログのスタートの時とは、解釈に違いがあります。
より独創的な解釈になります。
しばらくお待ちください。
愛知の薬剤師、三品です。

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