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傷寒五六日中風 小柴胡湯 その3

98「五六日中風、往来寒熱、胸脇苦満、嘿嘿不欲飲食、心煩喜嘔、或胸中煩而不嘔、或渇、或腹中痛、或脇下痞鞕、或心下悸、小便不利、或不渇、身有微熱、或咳与小柴胡湯主之。」

往来寒熱・・・悪風悪寒はあるのでしょうか。
桂枝麻黄各半湯の条文に「発熱悪寒、熱多寒少」という表現が有ります。
同じように考えると「往来する悪寒と発熱」となり、往来ですから熱と寒の時間は等しいことになります。

胸脇苦満は、胸腔のトラブルで、胸膜に炎症があり、肺の可動がスムーズでない様子。

嘿嘿不欲飲食とは、胃自体が悪化して食欲がないというわけではなく、迷走神経から味覚異常と食欲不振を誘発している。

心煩喜嘔とは、心煩は心臓が煩わしく感じ、喜嘔はむかむかしてゲッとなることであり、この二つの症状が連動している。

「或は」以後は、症状が入れ替わる場合と追加される場合があります。

胸中煩而不嘔は、心煩喜嘔が胸中煩而不嘔となります。
心が胸中と領域が広くなり、嘔がありません。

渇は、はじめの「不欲飲食」では、「水分の摂取も嫌う」ことが含まれていますので、ここの「渇」は、「渇して水を飲みたい。」のではなく「口の中が渇いている。」ことを訴えています。

腹中痛と脇下痞鞕は、103条の状態と類似ですが、発熱があることが103条とは違います。

心下悸、小便不利は、心下悸と小便不利が連動しています。
脳下垂体後葉から分泌されるバソプレッシンは、抗利尿ホルモンで有り、また血管を収縮させる為に小便不利と心下悸が現れています。(脈証にも影響あり)

不渇、身有微熱とは、どのような状況でしょうか。
「嘿嘿不欲飲食」「或渇」「或不渇、身有微熱」となっています。
「嘿嘿・・・」の時点では「渇」はありません。
ですから、これに対応するならば「不渇」は必要ありません。
また「或渇」とは同列なので、「或渇」が有るので「不渇」を記述したこともありません。
そうすると残るは
「四五日、身熱、悪風、頚項強、脇下満、手足温而渇者、小柴胡湯主之。」
との比較です。
この四五日の身熱手足温而渇者と五六日中風不渇身有微熱の違いです。
それは傷寒と中風の違いにもなりますが、対応処方は同じ小柴胡湯となります。
次の問題は身有微熱と往来寒熱との関係です。
往来寒熱から継続する微熱に変化するのか
往来寒熱の寒熱の程度が微熱なのか、
往来寒熱に微熱が加わるのか、どれでしょうか。
まず往来寒熱を考えます。
分からないのは往来寒熱の周期です。一日の間に何度も往来するのか、数日間において往来するのか、月をまたいで往来するのかがわかりません。これらの違いも含まれての「往来寒熱」なのでしょうか。
寒熱の強弱も限定されていませんので、「身有微熱」で熱の程度を限定していると考えます。
そうすると往来寒熱の熱は微熱ではないとなります。

咳は、胸腔のトラブルによる咳です。気管支の炎症と考えます。

この条文の意味するところがとても広いです。
これまでの各条文では、病態をある程度に限定してきました。
ここでは、小柴胡湯で治る場合をできるだけ盛り込んだような感じです。
「或は」以後は、改訂時に補充された文字かもしれませんが、その補充された意図は、文頭の「五六日中風」に込められた意味を解説していると思います。

花村訓充先生の遺稿集(p22)に下記の記載が有りました。
 小柴胡湯の原発證(今迄の条文を逆に読む)
「咳・・・昨日迄何ともなかったのが咽に違和感を覚え、痛い様な痒い様な感じで空咳が出る様になった。
不渇身有微熱・・・そうこうしている内に身体が何となく熱っぽい感じがする。風邪を引いたかなと思えて来た。
心下悸小便不利・・・そして小便をすると赤茶けた色が濃くなって、みぞおちがどきどきする事がある様になって来た。だんだん熱が出始めた様だ。
脇下痞鞕・・・脇下が重い様な感じがする。
腹中痛・・・おなかが痛む事も時々ある。
渇・・・熱の為に口が渇く。
胸中煩而不嘔・・・始めの咽の違和感は段々肺の奥へと入っていく様で、ついにはささくれた様な痰がぜらつく様な感じで気管、気管支、細気管支と奥へ奥へと入っていく。
往来寒熱胸脇苦満嘿嘿不欲飲食心煩喜嘔・・・ついには上記のはっきりした病状が出て来て口もまずくて、嘔気がして熱も高温が出る様になった。
傷寒五六日中風・・・丁度風邪を引いたかなと思った日から数えて五六日で、「今が一番峠の様な気がします。これから肺炎とか其他の悪い余病が併発しなければよいと思います。」と、看護人が見舞客に話をしている。
与小柴胡湯主之・・・小柴胡湯をのんだら汗や小便が出て(人によっては下利)ウソの様に治ってしまった。こんな事なら始めの咽の少し変な時に小柴胡湯をのんでおけば苦しまずにすんだ。
此所に逆読みを書きましたのは、一般には風邪の初期は葛根湯又は麻黄湯を服用して、一週間位たったら小柴胡湯を服用する様に説明されて居る事が多いからで、実際には風邪は初発時から最期迄小柴胡湯或は大柴胡湯の患者の数の方が多いからです。」

花村先生のイメージでは、この傷寒五六日中風は、これだけで一つの世界を形成していることになります。
始まりから終りまで・・・小柴胡湯・・・。

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しょうかんぽん

Author:しょうかんぽん
傷寒論 厥陰病編が終わりました。
霍亂病の解釈は休憩にします。
ただ今、最初から読み直しています。
このブログのスタートの時とは、解釈に違いがあります。
より独創的な解釈になります。
しばらくお待ちください。
愛知の薬剤師、三品です。

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