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29 甘草乾姜湯

29「傷寒脈浮、自ら汗出で、小便数、心煩し、微に悪寒し、脚は攣急し、反って桂枝湯を与え、其の表を攻めんと欲するは、此誤り也。之を得て便に厥し、咽中乾き、煩躁吐逆する者は、甘草乾姜湯を作り之を与え、以って其の陽を復す。若し厥癒えて足温なる者は、更に芍薬甘草湯を作り之を与えれば、其の脚即ち伸ぶ。若し胃気和せず譫語する者は、調胃承気湯を少し与えよ。若し重ねて発汗し、復た焼針を加える者は、四逆湯を主る。」

傷寒は「陰陽倶」
脈浮
自汗出
小便数
心煩
微悪寒
脚攣急
桂枝湯を与えたく思う
以上の条件を満たした病態を想定しなければなりません。
それは実在する病状であることは確かなのですから。

「傷寒」は病状の表現ではありません。
「脈浮」は、沈ではありません。当然のようですが、脈浮というのは脈平以上が浮ですので、脈平も浮に最も近いのです。
ですから確実なのは「沈ではない」となります。
「汗が出ている」ということは汗腺が開いているということは、交感神経よりは副交感神経の作用が強く現れていることになります。「自」の意味は、わかりません。
「小便の回数が多くなる」のは、副交感神経の作用です。
「心煩」はいろいろな場合がありすぎて特定できません。
「微悪寒」は、すこし寒気がする。体表面の血行が悪く温度を維持できない。外寒の場合と内寒の場合があります。
「脚攣急」とは、足が急に痙攣する。足がふるえる。立っていられない。
「桂枝湯を与えたく思う」ということは、虚しているわけではなく陰病でもないことを示しています。
初めから陰病ならば、だれも「その表を攻めんと欲する」とは思いません。

どのような状況なのかを確定できないと、必ず誤治をすることになります。
そこで思いついたのが冷や汗です。
私が高校生か大学生の時か、電車に乗っていて突然意識を失ったことがあります。
顔面蒼白、冷や汗、急に意識が遠のいていくのを覚えています。吊革につかまっていた手がしびれ、頭がゆっくり床に落ちていきながら、意識が薄れていく感じでした。
次に気が付いたら駅に下ろされていて、電車を1本やり過ごしたでしょうか、静かにしていたら全身が熱くなり、血流が戻ってきたようでした。それで元に戻りました。

冷や汗が出て倒れる状態に迷走神経反射・失神があります。
失神は血管抵抗が低下して一時的に頭に血が行かない状態です。
血管抵抗が低下するとは、脈が拡張するので浮になります。
頭に血を送るように、心臓が動き,動悸になります。
冷や汗ですから、汗が出ていても身体は冷たいので少し悪寒があります。
ふらついて立っていられなくなります。
小便は、失禁することがあるけど、小便数に失禁も入るのかはわかりません。

この時に、桂枝湯を与えるとさらに血管抵抗がなくなるためダメです。

「之を得て更に厥し」とはこの状態がさらにひどくなって手足が冷たくなる。
つづいて喉が渇き、苦しく嘔吐する。
これは、精神性なのか、または低血糖とか何かのショック状態に近いです。
はじめの迷走神経反射からショック状態までが甘草乾姜湯で対応できることになります。

もう一度解説します。
「自汗出」は中風の場合のように解熱時の発汗ではないことを表しています。
汗が出るということは、体表面の血管は拡張して、血管抵抗を低下させており、血圧が急激に低下します。
それに対抗し逆反射が起こり心臓は拍出量を多くするために、内臓の貯蔵血液を心臓に還流しようとして収縮しますが、拍出量と還流のバランスが取れないので、心臓は空回りしています。膀胱は弛緩して小便の排出に向かいます。脳の血流量が十分でない為ふらついて足に力が入りません。
この条文の中には、失神の他、痙攣、意識障害、てんかんも含まれているのではないでしょうか。
共通項は「突然倒れる」です。その治療手順がこの条文に書かれています。
窮迫を回避するためには、甘草乾姜湯。急激な血圧低下、心停止を阻止します。
筋肉の痙攣がある場合は、芍薬甘草湯。
意識障害、てんかんの場合は、調胃承気湯。
どうにもならない場合は、四逆湯となります。
「若し重ねて発汗し、復焼針を加える」とは、「一か八かで発汗をしてみた」「投薬できない為、針を使った」と解釈します。
ここまで、病態をつかんでいながら、誤治で発汗するとは考えられません。

「甘草乾姜湯を与えても、身体のふるえが止まらない状態に対し、数回発汗を試みた。焼針も試みた。それでも身体のふるえが止まらない場合は、四逆湯しかない。」

「いろいろ投薬したが、改善しない状況の中で、発病してまだ時間が経っておらず体力がある間に、桂枝湯はダメとわかっていても、発汗を試みた。」

四逆湯で治るならば、甘草乾姜湯で陽が回復しない場合に使うことになります。わざわざ発汗を重ねる必要はありません。

甘草乾姜湯の後に四逆湯が書かれていないのは、甘草乾姜湯で陽が回復しない場合は四逆湯でもダメであり、最後に書かれた四逆湯は積極的治療方針ではなく、延命措置として投薬し、回復を待つものと考えます。

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しょうかんぽん

Author:しょうかんぽん
傷寒論 厥陰病編が終わりました。
霍亂病の解釈は休憩にします。
ただ今、最初から読み直しています。
このブログのスタートの時とは、解釈に違いがあります。
より独創的な解釈になります。
しばらくお待ちください。
愛知の薬剤師、三品です。

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